東洋医学では人体を構成する要素である
「気」「血」「津液」「精」のバランスの乱れで不調が起こると考えます。


それぞれが不足しているのか、余って停滞しているのか、なぜ足りないのか、なぜ停滞してしまっているのか、またどの臓腑が関係しているのかを見極めていく必要があります。

それを踏まえて、鍼灸治療では気血や臓腑の変調を整え、働きを正常に戻していくことで、身体の隅々まで血が巡る元気な身体へと導きます。


アーユルヴェーダでは、ドーシャというエネルギーのバランスが乱れることで消化力に異常をきたし、アーマ(未消化物・毒素)が体内に蓄積することで病気になると考えています。


重くべっとりした粘着質なアーマは、栄養素やエネルギー・老廃物を運ぶために全身に張り巡らされた管(スロータス)に溜まり蓄積します。

アーマが溜まると必要な栄養素やエネルギーも全身に行き渡りません。老廃物も排泄されずに溜まる一方です。

またアーマには精神的なストレスで消化されずに残るメンタルアーマも存在します。

油の汚れは油で落とすというアーユルヴェーダの考えをもとに、薬草オイルを全身にたっぷりすり込んでいくアヴィヤンガで、身体も心もスッキリとデトックスすることが元気への第一歩です。

アーユルヴェーダと鍼灸の共通点

共通して大切と考えているのが消化吸収の力。

気・血・津液・精は、生まれた時に両親から受け継ぐものや呼吸から取り入れるもの、そして脾胃が飲食物を消化吸収し作り出された水穀の精微から生成されます。


アーユルヴェーダではアグニ(消化の火)が大切。主に食べ物の消化と体内の代謝の働きをしています。
アグニが正しく働いていれば、身体組織(ダートゥ)が順調に作られ、最後にはオージャスという生命エネルギーの元が作られます。


消化・吸収の力が正しく働けていない状態では、どんなに良い食材やサプリメントを摂っても、勿体無いことになる可能性も…

元気な身体をつくるのは、自分で消化吸収して取り込み、作り出す力があってこそだといえます。

三焦(ファシア)の重要性

人体の内臓器官を五臓六腑と表現しています。

五臓 - 肝、心、脾、肺、腎
六腑 - 胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦

六腑で栄養分を取り込み、五臓が貯蔵する。
お互いが関係し合って働いています。

聞き慣れない名前の三焦という腑がありますが、意外にも臓腑の働きを助ける無くてはならない存在です。


三焦はずっと「名前はあるが形のない臓器」と言われてきましたが、現在は「ファシア(膜)」のことだとわかっています。

ファシアは主にコラーゲン繊維でできていて、水・空気・血液・膿・電気を通します。全身に存在し、筋肉・神経・血管・骨・腱・臓器を覆い、構造を維持しています。

三焦は主に水液の通路になっていて、各臓腑はこの三焦を通路にして水液代謝を行っています。

他にも飲食物を消化吸収し、分化した気血津液を全身に配布したり調整をしています。

また、腎から生じた元気を全身に分布するのは他の臓腑ではなく三焦の役割だとしています。

他の臓腑だけではこれらの働きが説明できないことから、三焦が臓腑と臓腑の隙間に存在し通路となって繋いでいるからこそだと考えられています。

アーユルヴェーダ×鍼灸

優しくオイルをすり込んでいくアヴィヤンガは、皮膚の下の組織に刺激を与え、柔らかさや柔軟性を与えます。毒素の蓄積を防ぎ消化管に流れて排出されるのを促していく。
まさにファシア(三焦)の働きを促すことになります。

鍼灸では気血や臓腑の変調を整える。それらがよりスムーズに働けるよう、アヴィヤンガでファシアのケアをする。

アヴィヤンガによってデトックスし、クリアな状態にすることで、新しいものが入ってきやすい身体になる。
神経の働きも鋭くなり、鍼灸の刺激も臓腑へ伝わりやすくなる。


アーユルヴェーダと鍼灸の組み合わせは、お互いが助け合い相乗効果が生まれます。

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